著者
井田 仁康
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

<b><b>1.国際地理オリンピックでの日本の成績 <br></b>&nbsp;第10回となる国際地理オリンピックが、2013年に京都で開催された。日本チームは、800人近くの予選参加者を勝ち抜いた4人の選手が参加した。結果は、銀メダル1つ、銅メダル1つと2つのメダルを獲得した。2つのメダルを獲得したのは、2008年の第7回からの国際大会の参加から、初めてのことである。32の地域・国が参加したが、チームとしての団体成績も、今までは下位だったものから中位へと上昇した。国際地理オリンピックの試験は、マルチメディア試験、記述式試験、フィールドワーク試験の3つからなる。試験はいずれも英語での出題、解答である。日本の生徒の特徴は、選択式のマルチメディア試験では比較的いい成績を残すが、フィールドワーク試験で高い得点がとれない。配点は、マルチメディア試験が20%、フィールドワークが40%であることから、フィールドワーク試験の点の低さは、総合点に大きな影響をおよぼす。しかし、京都大会では、日本の生徒はフィールドワーク試験も健闘をみせ、メダルの獲得にいたった。<br><b>2.国際地理オリンピックからみる日本の地理教育の課題</b><b></b> <br>&nbsp;国際地理オリンピックの日本チームの成績から明らかなように、日本の地理教育の課題の一つは、地理の醍醐味ともいえ、国際的にも重要視されているフィールドワークが、中学の社会科地理学習、高校での地理歴史科地理学習においてもあまり実施されていないということである。学習指導要領には野外調査をすることが明記されてはいるが、実施率は低いと推測される。地理の面白さ、有用性、そして世界の中での地理教育を高めていくためには、フィールドワークの実施が一つの鍵となる。国際地理オリンピックの国内大会においても、2013年度から第3次試験まで設け、1次試験のマルチメディア、2次試験の記述を突破した上位約10名が3次試験のフィール-ドワークに挑戦することになっている。国際地理オリンピックの国内大会でも、地理ではフィールドワークが重要であることを示すことになる。 また、国内大会でも2割は英語での出題、解答としている。すなわち、英語でのコミュニケーションの重要性を示している。国際大会に参加した生徒たちは、英語での出題、解答に難儀を感じているようだが、日本の高校生の英語レベルで十分に対応できる。英語を使うこと、それ自体に自信を持たせてあげることが肝要であろう。<br><b>3.地理オリンピックからみた国際化への具体策<br></b> 国際地理オリンピックでは単なる知識を問う問題は少ない。地理的な知識に基づいてどのように考えるか、すなわち地理思考力が問われる。したがって、地理教育で国際化を進めるには、フィールドワーク、地理的思考力を高める教育をし、英語や地図などをコミュニケーションツールとして、世界の人たちと対峙できる地理的能力を習得することであろう。</b>

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