著者
関 剛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

トドマツを含むモミ属樹種では、種子生産の豊凶は雌花序生産の年次間変動と深く関わっている。北海道においてトドマツは天然林の構成樹種であり、主要な造林樹種でもあることから、雌花序の年次間変動の予測方法は天然林管理、種子採取に関して重要な情報である。本研究では、トドマツ林冠木の樹冠上部の枝に残存する球果・発達中止した雌花および雌花芽の中軸を確認して雌花序の過去の年次間変動を推定し、線型混合モデルによって豊作に有効な要因を選択した。説明変数として、花芽形成年、その前年の気温、および両年の気温差(花芽形成年の気温から前年の気温を引いた値)を用いた。雌花序の調査は、北海道・後志地域の中山峠付近で、トドマツ林冠木10個体の主幹から分枝して3-5年目に相当する枝の主軸を対象とした。調査対象の13年間のうち、雌花序の豊作は3回確認され、対象個体のほとんどによる開花がこの他に2回確認された。雌花序生産の豊作のきっかけとしては、6月における花芽形成当年と前年の気温差の正の効果が最も有効な要因として検出された。雌花序生産の年次間変動予測において、連続する2年間の温度条件を調べることの重要性が示唆された。

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