著者
竹下 温子 勝又 真里奈 高林 由佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】昨今、食育は日本の教育の中で重要視され、地産地消によって食文化を守ることも重要な役割とされている。その中で食育の一環として、鹿児島の管理栄養士らが地産地消と地場の活性をテーマに「川内きびなご鮨」を考案した。その製造工程にきびなごの昆布締めがあり、保存期間の違いによってうまみが増し、爽やかな酸味が生まれるという。 我々はこの味の変化について保存期間の違いによる微生物の動態変化、および微生物の関与が人の味覚に影響を及ぼすか、遊離アミノ酸量を押さえながら比較・検討することを目的とした。【方法】保存法の異なった4種のサンプルを用い、菌数測定に、標準寒天培地(T)およびGYP白亜寒天培地(G)を用いた。全サンプル200の菌について高分子DNAを抽出(Benzyl chloride法)、グループ分け(RAPD法)、16S rDNAのPCR増幅、塩基配列決定後DDBJの相同検索にて同定した。遊離アミノ酸測定はOPAプレラベル法を用いた。【結果】菌数はT・G培地ともに冷蔵保存期間が長いものほど多かった。次に22グループに分かれた代表菌株はすべて<i>Stapylococcus</i>属と100%の相同性を示した。遊離アミノ酸の総量は保存期間の長い順で増加していた。この結果は菌数増加量と一致しなかった。官能試験の総合評価は遊離アミノ酸の増加量に比例せず、最も遊離アミノ酸量が多かったサンプルについては、熟成からさらに腐敗に進んでいる可能性があると考えられた。その他、微生物が関わるとされている酸味・香気は嗜好調査との相関は見られなかったが、菌数と総合評価の傾向が近く、やはり何らかの形で美味しさに影響を与えていると考えられた。

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