- 著者
-
渡瀬 典子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.67, 2015
<目的>近代の女子教育では「裁縫」に多くの時間が割かれ、余暇活動としてこれらの行為を行うことも奨励された。「社会生活基本調査」によれば「趣味・娯楽」として「編物・手芸」をする女性は32.4%(昭和61年)→19.3%(平成23年)、「和裁・洋裁」は28.7%→12.1%と減少している。しかし、昭和51年の同調査で「和裁・洋裁・手芸」を余暇活動に挙げた女性が9.0%だったことを考慮すると、バブル期前後にこれら行為を「余暇活動」として日常生活で楽しむ状況が生まれたと考えられる。本報告はNHK「婦人百科」(現在は「すてきにハンドメイド」)に焦点を当て、バブル期前後にあたる10年間に取り上げられたテーマと記事に付されたキャプションに注目し、「手芸」の意味付けについて考察する。「婦人百科」を分析対象としたのは80年以上に渡り手づくりに関する情報を提供してきたからである。<方法>「婦人百科」[No.241~336:1985年4月~1993年3月],「おしゃれ工房」[No.337~372:1993年4月~1996年3月]の記事にある「和裁・洋裁・手芸」のテーマ、各テーマについて付されたキャプションの内容分析を行った。<結果>「家族」のためだけではなく「自分」のため、「社会」のための手づくりという視点が見える。また、工程が複雑、高度な技術が必要な時間がかかる作品から「手軽に」作ることができるものへと変化している。