著者
松田 一希 Chua Ying Shi Physilia John Chih Mun Sha Clauss Marcus
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.31, pp.69, 2015

コロブス類は、一日の活動時間割合の半分以上を休息に費やすことが知られているが、彼らが休息するときの姿勢に着目した研究例はほとんどない。そこで演者らは、シンガポール動物園の霊長類8種(コロブス類2種:テングザル、アンゴラコロブス;他の霊長類6種:パタスモンキー、クロザル、ホエザル、クモザル、オランウータン、チンパンジー)を対象に、休息時の姿勢を調査した。また同時に、野生霊長類の休息姿勢が記されている文献調査も実施した。その結果、飼育、野生ともに、コロブス類は他の霊長類種に比べて、日中の休息時間の中で頻繁に垂直姿勢をとることが明らかとなった(飼育:73% vs. 23.2%;野生:83.0% vs. 60.9%)。これらの行動観察に加えて、演者らはシンガポール動物園においてコロブス類を対象とした消化実験も行った。この消化実験より明らかになった、コロブス類の消化管内での詳細な消化機構の特性と合わせて、なぜコロブス類が垂直姿勢を好むのかを議論する。

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