著者
日野 正輝
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<br><br><br><br><b>広域中心都市・仙台</b><b></b><br>&nbsp;<br><br><b>日野正輝(東北大)</b><b></b><br><br>&nbsp;<br><b>1</b><b>.検討課題</b><br><br> 筆者はかつて東北の人口減少時代の到来を確認した上で、仙台の近年の変化として、①郊外での戸建住宅供給の減少と都心部での分譲マンション供給の増加、②支店集積の縮小、③市民組織などによる集客活動の増大を紹介した(日野、2006)。これらの傾向は現在も変わっていない。本報告では、主に仙台の産業構造および都市の活性化の動きを近年の統計を参照しながら再検討したい。<br><br>&nbsp;<br><br><b>2.</b><b> 1990年代以降の人口動向と基盤産業の推移</b><br><br><b> </b>仙台市および仙台都市圏(30km圏)の人口は2010年現在も増加を維持している。しかし、2000年代の増加率は1990年代にくらべると大きく低下した。人口増加率は2010年代には再び増大すると予想されているが、2020年代には再び低下し、2025年以降は人口減少に至ると予想されている。同時に、高齢化と世帯規模の縮小が一層進展する。仙台の経済基盤について、経済基盤説における基盤産業に着目し、主要基盤産業の動向をみると(産業小分類に基づき立地係数1以上の産業で、基盤部分の従業者数が多い産業)、1991年には卸売業が全基盤産業従業者数の35%を占めたが、2012年には当該比率を21%と大きく低下させ、代わってサービス産業の比率が増大するなど、仙台の経済基盤が多様化している。<br><br><b>&nbsp;</b><br><br><b>3.</b><b> 支店集積の縮小</b><br><br><b> </b>広域中心都市は周知のとおり高度経済成長期以降「支店経済のまち」と呼ばれ、支店集積が都市の発展をけん引するところが大きかった。しかし、支店の集積量が1990年代後半以降縮小に転じ、それに対応するかのように都心部のオフィスビルの空室率が大きく増大した。この傾向は2000年代においても継続している。2012年経済センサス(活動調査)による支店従業者数は113,522人であり、2001年121,699に比べて減少している。都心部オフィスビルの空室率は2001年11.6%、2011年13.2%と推移し、依然として10%以上の水準にある。1990年代前半の当該比率は5%前後であったことからすれば、高止まりの状態にあると言える。しかも、その間にオフィスから店舗などへの利用転換も少なくなかったことからすれば、実質的には空室率は増大してきたと推察される。その理由は、支店集積の増大が見込めないなかで大型ビルの建設が2000年代にも続いたことを指摘できる。<b></b><br><br><b>&nbsp;</b><br><br><b>4.</b><b> 市民活動と集客産業の動向</b><br><br><b> </b>東北地方の主要都市の中にあって中心商店街が賑わいを維持しているのが仙台のみと言ってよい状況にある。高橋(2009)は、仙台の中心商店街の賑わいについて、そこは単なる買い物の場所ではなく、来訪者がそこで時間を消費する「消費・集客装置」と見立て、仙台の磁力は多様化するとともに強まっていると見ている。同時に東京資本の影響が大きいと指摘している。他方、仙台の集客力に関連して、市民に支えられたイベントの増加と定着も注目される。青葉祭り、定禅寺ストリートジャスフェスティバル、みちのくYOSAKOI祭り、光のページェントなどは七夕祭りとともに、仙台の風物詩と位置づけられまでに育っている。さらに、楽天イーグルス、ベガルタ仙台などのプロスポーツクラブの設立および各種会議の開催が仙台の集客力を高める働きをしている。また、都市の持続的な活性化との関連では、NPOなどの各種の市民組織の活動が注目される。<br><br>&nbsp;<br><br><b>5.</b><b> 社会・文化的活動と都市の活性化</b><br><br> 上記した仙台の状況は、仙台駅周辺に開発された1990年代後半以降の高層ビル群から受ける仙台の印象(順調に発展する都市)とは違っている。前者の状況認識から、今後の仙台の在り方を考えるとき、支店経済の部分を含めた都市基盤の保持に努めることに加えて、市民活動の高まりなどに見られる社会・文化的活動のための環境整備および市民生活の質を高めることで、都市の活性化を促すことが期待される。都市の社会・文化的活動が都市の集客力や人口の社会増加に与える影響は小さくないと考えられる。<br><br>&nbsp;<br><br> <b>参考文献</b><br><br>高橋英博(2009):『せんだい遊歩―街角から見る社会・学―』北燈社、124頁。<br><br>日野正輝(2006):転換期を迎えた仙台の構造的変容。地理、第51巻、第12号、83-91頁。<br><br><br><br>

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