著者
藤田 誠記 大浪 徳明 宮本 弘太郎 鬼塚 由大 池田 さやか
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに】質の高い保健医療福祉サービスを確保し,将来に渡って安定した介護保険制度を確立することを目的として,2014年4月の診療報酬改訂と同時に地域包括ケアシステムが施行された。地域包括病棟または病床では,入院期間を60日とし,リハビリテーション(以下,リハ)を,1人一日平均2単位以上提供すること,在宅復帰率70%以上が必須とされている。当院でも,平成28年10月地域包括病床を開設した。運営の中で,問題点も浮き彫りになってきた。開設準備から現在を振り返り課題も見えてきたのでここに報告する。</p><p></p><p>【当院の現状】当院では,循環器医師を兼任のリハ科Drとし,理学療法士3名・作業療法士2名・言語聴覚士1名で地域包括病床を含め199床の入院患者のリハを実施している。平成28年7月から地域包括病床の施行期間に入り,同年10月男女4人部屋を一部屋ずつの計8床で開設した。リハ科では,専従理学療法士を1名配置した。</p><p></p><p>【施行期間から現在を振り返って】看護部 医事科 リハ科スタッフの代表者が集まり,運営会議を開催した。対象患者の選定,院内の医局や他部門への周知,地域包括病床へ転棟してくる場合や転棟するタイミング,対象となる患者への説明の仕方,準備書類など9月から週1回のペースで話し合ってきた。医局からの出席はなく地域包括病床対象患者の選定が上手く進まなかった。</p><p></p><p>【リハ科の算定実績とその周辺】地域包括病床への入院患者については,7月6名,総単位数161単位・入院日数61日,院内全体の看護必要度28.9%。8月7名,総単位数260単位・入院日数90日,院内全体の看護必要度24.1%。9月8名,総単位数279単位・入院日数138日。地域包括病床からの転帰については,7月から9月末日までで,自宅退院者36例,自宅扱い病院・施設3例と,在宅復帰率100%であった。</p><p></p><p>【今後の課題】施設基準を満たし,10月から開設となったが,地域包括病床の対象となる患者を運営会議で選定する際,看護必要度を維持するための患者選定になっている。そのため,リハの必要性は問わず,看護必要度の低い患者が優先されている状況である。また,地域包括病床の患者は,状態が急変したり,リハ拒否が続いたりしても地域包括病床から退室しない限りは,1人一日平均2単位の影響を受け,地域包括病床のリハ対象者の単位数を常に気にかけていなければならないし,他の病棟の患者へのリハ提供の不均衡が生じている。他部門への上記の理解が急務だと考える。</p>

言及状況

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