- 著者
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永井 聖剛
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.1, pp.44-55, 2012
<p>近代文学は、非合理的なものを作中から排除することで、現実らしさを構築しようとした。小稿で扱う〈変身〉が、排除されたものの好例である。しかし、〈変身〉はほんとうに姿を消してしまったのか。そうではあるまい。「変身したくない=真の自分のままでありたい」という内なる声となって、多くの主人公たちを規制し続けたのではなかったか。小稿は、写実主義から自然主義への推移の過程で、〈変身〉が排除されようとする現場を辿り直すことで、それによって囲い込まれた「現実」や「真実」がいかなる性格のものだったのかを考察しようとする試みである。</p>