著者
石田 淳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.182-200, 2016
被引用文献数
4

<p>本論は, 「ブール代数分析による社会的カテゴリー分析」の枠組みを用いて, 2013年に実施されたインターネット調査により, 人びとのナショナル・アイデンティティを「日本人の条件」として把握し, その様態と社会的属性との関連を分析することを目的とする. 具体的には, 国籍・在住・血統・言語の4条件の組み合わせによる16パターンのプロフィールを回答者に提示し, 「日本人」だと思うか否かの2値評価を求め, 関連する意識や属性・社会経済的地位などの要因との関連を探った.</p><p>分析の結果, 以下のことが明らかになった. まず, 回答者のイメージを統合した統合イメージについて分析した結果, 基本的に血統を必要条件とする条件組み合わせで構成されていた. 次に, 背後にある意識が日本人判断にどのように関連しているかを分析した結果, 国に対する誇りの高さは「血による包含」と, 排外主義は「血による排除」と, 同化主義は「文化による排除」と強く結びついていることが分かった. 最後に, 血統もしくは国籍に寛容的な日本人条件イメージが, 回答者の属性や社会経済的地位, 社会的経験とどのように関連しているのかを探った. その結果, 地域社会における外国人との接触経験や, 年齢の若さや学歴の高さといった外国人への寛容性と関連する属性・地位要因が, 異質性に寛容的な国籍拡張型のイメージの可能性を高め, 同質性に寛容的な血統主義的なイメージ拡張の可能性を低めることが確認された.</p>

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おもしろい。 「日本人聾者(≠日本手話話者)」の条件という題目で自慰記録を書く手もありそう。ただ、聾家族にみる血統主義に対し、生地主義に該当する概念は何なのかが今一つピンと来ない。 vid. https://t.co/jgdzMcP8Eg #CiNii

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