著者
藤井 貴志
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.49-64, 2016

<p>花田清輝は昭和二十四年に発表した「ドン・ファン論」において、「近代の超克」を果たす為には〈人間中心主義〉から〈鉱物中心主義〉へのパラダイムシフトが不可欠であると記している。疎外された〈人間〉の主体性の回復に躍起になる同時代の〈主体性論争〉を挑発するかのように、花田はむしろ「おのれ自身を、客体として、オブジエとして、物体として」(「わが物体主義」)捉える必要性を強調し、自動人形や動く石像、あるいは〈物〉に化していくプロレタリアートといったモティーフを〈鉱物中心主義〉のもとに変奏していく。本論は、〈物〉になる〈人間〉という一見疎外論的なイメージを逆手に取り、謂わば〈人形〉のような非-主体を立ち上げることによって画策された花田の〈革命〉のヴィジョンを横断的に追跡し、その可能性を再検討する試みである。</p>

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藤井貴志 「〈人形〉のレジスタンス――花田清輝の〈鉱物中心主義〉的モティーフと〈革命〉のヴィジョン」、『日本近代文学』、2016。これはウェブで読めるよ。https://t.co/v77Et5GIYV
"CiNii 論文 -  〈人形〉のレジスタンス : 花田清輝の〈鉱物中心主義〉的モティーフと〈革命〉のヴィジョン" https://t.co/t5tC0QpWou

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