著者
福田 央 韓 錦順
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.715-727, 2015

テキーラの低沸点香気成分及び中高沸点香気成分85成分を分析・比較しブランコとレポサドでは11成分(イソ吉草酸エチル,イソ酪酸エチル,バニリン,コハク酸ジエチル,ウイスキーラクトン,酢酸エチル,安息香酸エチル,カプリル酸エチル,4-ビニルグアイヤコール,2-メチル酪酸エチル及びDMS)に有意差が認められた。ブランコ及びレポサドを10成分(ウイスキーラクトン,カプロン酸イソブチル,カプリン酸プロピル,シトロネロール,イソ吉草酸エチル,バニリン,ウンデカン酸エチル,オレイン酸エチル,イソ酪酸エチル及びコハク酸ジエチル)により判別分析を検討したところ,42点の内40点が正しく判別され,判別精度は95%であった。レポサドとアネホでは9成分(フェニルアセトアルデヒド,2-ペンチルフラン,フルフラール,安息香酸エチル,ノナナール,クロトン酸エチル,バニリン,ジアセチル及びウイスキーラクトン)に有意差が認められた。レポサドとアネホを8成分(カプリン酸イソブチル,フェニルアセトアルデヒド,2-ペンチルフラン,セドロール,アセトアルデヒド,フルフラール,2-エチル-5(6)-メチルピラジン及びβ-フェネチルアルコール)により判別分析したところ36点の内32点が正しく判別され,判別精度は89%であった。ブランコとアネホでは17成分(ウイスキーラクトン,安息香酸エチル,カプリル酸エチル,及びフェニルアセトアルデヒドの他13成分)に有意差が認められた。また,4成分(ウイスキーラクトン,安息香酸エチル,カプリル酸エチル,及びフェニルアセトアルデヒド)による判別分析では42点の内40点が正しく判別され,精度は88%であった。ラム酒とテキーラでは38成分(α-テルピネオール,5-メチル-2-フルアルデヒド,ドデカノール,カプリン酸イソアミル,安息香酸エチル及びその他29成分)に有意差が認められ,5成分(α-テルピネオール,5-メチル-2-フルアルデヒド,ドデカノール,安息香酸エチル及びカプリン酸イソアミル)による判別分析では114点中111点が適切に判別され,精度は97%であった。なお,テキーラの揮発性成分の特徴であるリナロール及びα-テルピネオールは,原料処理後の発酵工程で生成すると推定された。

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