著者
阿部 慶賀
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.161-170, 2016

&lt;p&gt;本研究では,印象評定時の重さの身体性入力が評定に及ぼす影響を検討する。近年の身体性研究では,事物や人物の印象評定時に触覚や力覚での身体性刺激を添えることによって判断に歪みが生じることが報告されている。例えば,重いクリップボード上に提示された履歴書の人物や記事に対して印象評定を行うと,軽いクリップボード上に提示された場合より重要性を高く評定する傾向が見られるとされている。しかし,こうした重さをはじめとする知覚される身体性入力は,主観量と物理量が必ずしも一致しない。そこで,本研究では重さによる印象への影響は主観量と物理量のどちらが主導であるのかを「大きさ重さ錯覚」を用いた心理学実験によって検討した。実験の結果からは,同質かつ同じ重量の飲料水でも容器の大きさから生じる錯覚で重さの主観量が異なっていた場合には,飲料水の貴重さや値段の見積もりが異なることが示された。このことから,重さによる印象評定には主観量が作用していることが示唆された。
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