著者
早川 真紀子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.145, 2007

〈はじめに〉平成14年褥瘡未実施減算が始まり、全国的に褥瘡に対する注目度が高まった。文献検索によると、病院内の褥瘡発生件数の内訳が在宅、施設からの持込が、院内発生率の2倍弱という結果の報告がある。実際、在宅では、ADLがA1、A2の動ける人の中にも褥瘡を有するケースの経験もしている。当事業所における在宅での褥瘡発生率を調査し、在宅においての褥瘡発生の因果関係を知り、今後のケアプラン作成や支援方法に役立て、在宅における褥瘡予防を考える。〈研究方法〉_I_調査研究:当事業所で契約を交わしたケース139件(H17/1~H17/12まで)のうち褥瘡を有した25件の家庭環境・サービス利用状況を調査する。_II_研究期間:H18/5/1~H19/4/30〈結果〉 資料1 グラフ参照〈考察〉サービスの利用により、観察の目が多くなり、褥瘡は早期に発見でき、治癒、改善している。複数の事業所が関わることで、スタッフ間の意識の高まりや緊張感もでてくるのではないか。サービス提供事業所では日々の状況や介護者の心理的な動きを記録している。モニタリングの場面で情報を得ることから考える。独りで過ごす時間が長い人は5人で92%は同居していた。背景として考えられる事とは、老老介護や経済的理由で介護者が自宅に一緒に居る事実がある。旧栃尾市は地場産業の衰退による離職者が多い、若い世代の流出で高齢者世帯が非常に多い地域である。年金暮らしのためサービスの介入が困難でマンパワーが不足したケースが数字として現れた。褥瘡の発生したケースは要介護3以上が92%で、発生のリスクが高い事がわかる。リスクを最小限にしようとすると必然的に介護量が更に増す。病院であれば24時間専門職の対応ができる。在宅では限られた時間でのケアスタッフの対応と家族の介護力に期待するしかない。悪化、不変ケース5人の共通点として、介護歴が5年以上、介護の協力者や相談者がいない、閉鎖的な考えで他人の介入を拒みサービスの介入が困難であった。関わるサービス事業者と普段の情報交換で理解を深め、観察項目の確認をすることで、専門性の目を高め援助できるケアプラン作りが必要である。介護者の思い入れが強かったり、使命感に縛られサービスを介入する事が難しいケースの場合、サービス導入ばかりにとらわれず、話を聞く事に専念し介護者の心の負担をわかりあえたという瞬間を感じたケースもあった。〈結語〉◙サービスが関わっているケースは褥瘡を早期に発見できる◙主介護者が抱え込んでいるケースはサービスが介入しづらい◙サービスを導入するには経済的な理由も考慮する必要がある◙要介護3以上に褥瘡の発生リスクが高い 〈文献、検索〉 1)江原喜八、褥瘡を防ぐシーティング、月間総合ケア、2006.vol.16.no.122)折茂賢一郎、安藤繁、新井健五、廃用症候群とコミュニティケア、別冊総合ケア、2005 医歯薬出版3)市川冽、ケアマネジメントのための福祉用具アセスメント・マニュアル、1998 中央法規4)日総研グループ、褥瘡ハイリスク患者の予防管理が実践できる仕組みづくり、月刊.Nurse.Data 2004資料1 グラフ6票

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