著者
山本 克也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.115, 2008

本研究は、路面電車芝生軌道の多面的な整備効果を実証的に明らかにし、今後の他都市における芝生軌道整備検討の参考に供することを目的とする。本研究は、鹿児島市において整備された延長約2.8_km_のわが国初の本格的な芝生軌道を事例として、その整備効果を多面的に把握することを試みたものである。その結果、軌道面の温度測定によりヒートアイランド現象緩和の効果が、また、騒音レベルの測定により沿線騒音を大きく低減させる効果があることが確認された。さらに、市電利用者や沿線住民等へのアンケート調査により、景観やまちの魅力の向上に寄与していると評価されていることが明らかとなった。近年、まちづくりの中で路面電車を改めて評価する機運が高まり、路面電車の有効活用や高度化への取り組みが増加しているところであるが、本研究により、そのメニューのひとつとして芝生軌道整備が有効であることが実証されたといえる。

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