著者
斎藤 悦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.171, 2010

<B>目的</B> グローバル経済が進展する中,生活を規定する企業活動は持続的成長を図るために様々な方策を実施している.その一つが,企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: 以下CSRと呼ぶ)である.CSRが及ぶ範囲は,社会的公正性,倫理性,環境,人権と幅広いが,日本のCSRは環境問題に特化され,ステイクホルダーである労働者・消費者・家庭人・地域住民への社会的公正性や倫理性,人権に関する取組みが遅れている.本報告は,現在の生活経営学的課題をCSR視点で捉え直し,日本企業のCSRと生活経営学の今後のあり方を提起する.<BR><B>方法</B> 生活経営学的課題を収入(賃金)と働き方に絞り現状を把握する.CSRガイドラインとして多用されているGRI(Global Reporting Initiative)に含まれる「労働とディーセント・ワーク」指標に照らし,法令遵守としての最低賃金制度とその実態を検討する.<BR><B>結果</B> 雇用形態別労働者数においては非正規労働者の増加,特に男性の非正規労働者の増加が明らかとなり,賃金については男女格差と同時に雇用形態別格差が示された.日本では,多くの企業がCSR=法令遵守として捉えているので,賃金の基本的な法令である最低賃金法から現状を把握し,最低賃金未満の労働者率と法令違反率を示す.さらにGRIの「労働慣行とディーセント・ワーク」指標に照らしながら,日本企業の不足点を明らかにした.それらの改善のためには,多様なステイクホルダーが生活主体として企業と向き合い、CSRに関わる姿勢が重要であり,能動的な生活者視点すなわち生活経営学が果たす役割は大きい.

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