- 著者
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荒木 裕子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.59, pp.106, 2007
【目的】工芸茶は中国で考案されたお茶で、緑茶の中に多彩な乾燥花弁を包み込み糸で結束して作られ、浸出時の茶葉と開いた花の美しさや近年の健康ブームと相まって消費が伸びている。本研究では工芸茶の抗酸化能を明らかにするためにポリフェノール含量、DPPHラジカル補足活性を測定した。さらに工芸茶を有効に飲用するための浸出方法についても考察した。【方法】試料は中国茶専門店で購入した工芸茶7種で、使用されている花弁の種類が異なるものを用いた。ラジカル補足活性はDPPH法を用い測定し、ポリフェノール量はFolin-Denis法でクロロゲン酸相当量として算出した。浸出条件の違いによる溶出固形分、ポリフェノール含量を測定した。【結果】工芸茶の製造に用いられる花弁はカーネンション、キンモクセイ、芙蓉など色彩の鮮やかなものが多く、緑茶と花弁の構成比は10対1程度であった。DPPHラジカル補足活性を調べた結果、全ての工芸茶に高い抗酸化活性が示され、ポリフェノール含量とDPPHラジカル補足活性の間には有意に高い正相関が認められた。お茶の浸出条件を調べた結果、工芸茶は製造時に茶葉を硬く結束していることから、煎茶や紅茶に比べ抽出するのに時間を要した。熱湯で5分程度の浸漬では結束中心部まで充分に浸透せず、10分以上浸漬することが望ましいと考えられた。また、2煎目以降でも充分な成分の溶出がみられたことから、お湯を継ぎ足しながら飲用する方法も有効であると考えられた。