著者
宇都宮 由佳 益本 仁雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.170, 2008

<B>研究目的:</B><BR> モチ米の発祥の地域ともいわれるタイ北部は,複数の民族が暮らしており,各民族の伝統文化,思想を色濃く反映したモチ米食の文化がある.ところが,近年の急激な経済発展と情報化が進み,流通インフラが整備されると,食文化の均一化・収斂化が認められる.そこで本研究では,各民族の伝統的なモチ米食について,その実態(名称,調理道具,作り方,食し方など)を調査し,民族間で比較分析することを試みる.今回は,タイ族,山岳民族のリス族,カレン族について分析する.<BR><B>研究結果:</B><BR> 大多数を占めるタイ族は,古来よりモチ米を主食としていたが,近年,電気炊飯器が普及しウルチ米が主食となりつつある.モチ米食は,山間部の村や伝統行事で見ることができる.主食とする場合は,蒸したモチ米を食す.行事の場合は,モチ米を挽き,粉にして「カノムジョ」など菓子の材料として用いる.<BR> 山岳民族の主食はウルチ米で,行事の時のみモチ米が食される.リス族は,新嘗祭で作る「カプッ」と正月(旧暦)の「カノムペーン」「カノムジョ」があり,村人総出で作る. 「カプッ」は,炒った黒ゴマと蒸したもち米をついて直径8cmほどの平たい円状に形成し,バナナの葉を九十九折にしながら餅を挟んでいく.後者2種は,タイ族から影響を受けたものである.<BR> カレン族は,「メートー・ピー」が代表例で,炒ったケシの実と蒸したモチ米をつき,伸し餅状(直径約30cm)にして,焼くまたは揚げて食す.「メートー・ポッムン,プックワ」は,生のもち米とピーナッツを笹の葉で包みと竹ひごで縛って茹でる.笹の葉の包み方で男型・女型を表し,名称が異なる.これらはクリスマスと病気の治癒祈願のとき各家庭で作られている.

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こんな論文どうですか? 北タイのモチ米食文化―タイ族,リス族,カレン族(宇都宮 由佳ほか),2008 https://t.co/LdXtEtJuVN

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