著者
重川 純子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.94, 2004

目的:有配偶女性の就労形態としてパート就労の割合が高いが、高度な技術や知識を必要とする職種に就労し高い収入を得る者も増加しつつある。自分自身の貨幣を持つことはパワーを獲得することになる。夫妻間の相対的な稼得力の変化は夫妻の関係を変化させるかもしれない。本研究では、まだ日本においては少数派である夫と同等あるいは夫以上に収入を得ている妻の属性、及びそのことが夫妻関係に及ぼす影響について検討を行う。<br> 方法:首都圏の核家族世帯対象に調査を実施した(財)家計経済研究所「核家族調査」(1999年)の妻回答と夫回答を用いた。調査前年1年間の収入により妻と夫の収入の関係を類型化(夫妻対等世帯、夫の方が収入階層が高い世帯、専業主婦世帯)し、家計の実態と意識、夫妻関係等について比較を行った。<br> 結果 :夫妻対等世帯の特徴は以下の通り:就業形態は、妻は公務員割合、管理・専門職割合、夫は相対的に公務員割合が高い。稼得役割、家事・育児役割について性別役割規範が相対的に弱い。家計管理の実態、収入帰属の意識面それぞれで個別化傾向がみられる。<br> 夫妻対等世帯の夫は比較的帰宅時間が早く、家事育児の実施頻度も相対的に多い。情緒面でも、夫妻対等世帯の妻は夫からサポートがあると感じ、夫も妻をサポートしていると思っている。妻の就業に対し、夫妻ともに肯定的な評価が多い。妻が夫とほぼ同等に稼得することは夫妻関係に緊張よりも、実態面、情緒面で協力関係をもたらしている。<br> 対等な夫妻共稼ぎが増加する中、個々人のレベルでは固定的な性別役割意識からの脱却、社会的には夫妻が協力的な関係を築ける働き方を保障する必要性が高まると考えられる。

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