- 著者
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前田 亜紀子
山崎 和彦
栃原 裕
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.59, pp.6, 2007
【目的】本研究の目的は、濡れた衣服の影響について、気温、衣服様式、水分率、作業強度の各条件を組合せ、生理・心理的観点から観察することであった。【方法】被験者は健康な成人女子11名であった。人工気候室は、気温30、25、20℃(相対湿度は80%一定)に制御された。衣服様式はスウェット上下(様式S)とTシャツ短パン(様式T)とした。以上より5種条件(30S, 30T, 25S, 25T, 20S)を設定した。衣服の濡れ条件は、D(乾燥)、W1(湿った)、W2(びしょ濡れ)の3種とし、全衣服重量の平均は、様式Sでは各々819, 1,238, 2,596g、様式Tでは各々356, 501, 759gであった。各濡れ条件において、安静期と作業期を設けた。作業期における踏み台昇降作業のエネルギ代謝率は2.7であった。測定項目は、酸素摂取量、直腸温(Tr)、平均皮膚温(Tsk)、および主観申告値とした。【結果】酸素摂取量は、衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した。Trの値は、条件25Tと20Sでは漸減した。Tskは環境温に依存して漸減し、特に条件20Sにおいては著しく低下した。本研究の要点は次の通りである。1) 濡れた衣服を着用した場合、気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる。2) 気温25℃以下では、軽装の場合、寒冷ストレスが生じ得る。3) 衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ、全身温冷感が中立であるとき、Tskは約33℃であった。4)濡れた衣服条件における特色は、全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき、平均皮膚温が著しく低下することである。