- 著者
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工藤 彩
川端 博子
生野 晴美
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.63, pp.59, 2011
<B>目的</B> 授乳期においては体型の変化や授乳により妊娠前とは違った衣服が求められ、ブラジャーに関しては授乳専用品が利用される。授乳専用ブラジャーは一般に母乳パッドと共に使用され、乳頭部の保護と母乳を吸収する役割を果たす。本研究では、綿の授乳専用ブラジャーに3種のパッド(不織布と吸水ポリマーからなる使い捨て、綿100%布製、ポリエステル100%布製)を装着し、パッド内部の温度・湿度環境の実態把握と着用感の比較を目的とする。<BR><B>方法</B> 授乳期の女性の協力を得て、日常生活の中でパッドに付着する母乳の量と、パッド内部の温度・湿度の推移を把握した。室温28℃・湿度60%の人工気候室内で、女子学生被験者15名が30分間安静を保ち着用感の評価をした後、母乳にみなした37℃の温水を4mlパッド内部に注入し、安静30分後に再び着用感評価を行なった。5名については、小型のロガー付きセンサーを用いてパッド内部の温度・湿度を測定した。<BR><B>結果</B> 交換時までに使い捨てパッドに付着する母乳量には、同一人物でも、左右差があるなど一定の傾向はみられない。多い時には10gを超えるケースもある。パッド内部の温度は36℃前後、湿度は90%を超え、高温多湿である。一方、女子学生では温度33℃、湿度40~50%前後であった。<BR> 人工気候室内の被験者5名の水注入前のパッド内温度・湿度の平均は35℃、60%前後で、3試料間には温度・湿度ともに差はみられない。水注入後には、使い捨てでは温度・湿度はほとんど変化しないが、綿とポリエステル製では温度はともに下降した。湿度は、綿では急激に、ポリエステルでは緩やかに上昇するが、30分後には両者とも約90%になる。このことから、布製では母乳の漏れがある時にドライな環境を保つのが難しいと考えられる。不快感においても、水注入前には3試料間に差はみられないが、水注入後には使い捨てがもっとも優れていると評価された。