- 著者
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吉田 正尚
- 出版者
- 公益社団法人 日本セラミックス協会
- 雑誌
- 日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.2009, pp.103, 2009
ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性であり、後加工による着色等の表面修飾が困難な材料である。しかし、シラン系結合剤と微粒子を含んだ液相中でPO基材を浸漬し微粒子を固定する手法によりPO基材を傷めること無くタングステン(W)微粒子を強固に固定することができる。その表面修飾の機構を考察するためにPO基材の表面状態とシラン系結合剤の分子構造が微粒子固定に与える影響を調べた。基材表面のSPM分析を行うとW微粒子が固定可能であるPO基材表面には板状結晶やラメラ構造が観察された。一方、一度熱処理したり顔料等を含んでいるとPO基材表面には高分子の整列は観察されなかった。この事からPE高分子が整列していないと固定される足場が無いためW微粒子が固定困難になると思われた。また結合剤分子の末端が基材組成と同じCH基を有する結合剤分子がW微粒子を多く固定できた。しかしW微粒子が固定可能なPO基材でも表面にスパッタ装置でAuコートを施すとW微粒子は全く固定出来なくなった。この結果から結合剤分子の末端基とPO基材とのCH基の疎水基相互作用によりW微粒子が固定されることが示唆された。