著者
吉田 正尚
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.95, 2007

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)基材は着色等の後加工による表面修飾がその化学構造から原理的に困難な材料である。これに対して発表者はゾル-ゲル法を独自に応用発展させた新しい方法により後加工でPO基材へ表面修飾できる方法を見いだした。これまでの基礎的検討により、難染色性のPEへの着色等の表面修飾が容易に可能であることが分かった。それは、1.様々な各種機能性微粒子(メゾスコピック~ナノ粒径範囲)、2.微粒子と基材の両方に親和性のある結合剤(シラン化合物)、3.高い結晶(配向)性を有するPO基材、の3つを組み合わせた全く新しい微粒子固定方法である。具体的には、微粒子・結合剤・結晶性PO基材を液相中(水または有機溶媒)に共存させると経時的に微粒子がPO基材表面に自己集合・自己組織化していく物理現象を利用した全く新たな製造方法である。
著者
吉田 正尚
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.103, 2009

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性であり、後加工による着色等の表面修飾が困難な材料である。しかし、シラン系結合剤と微粒子を含んだ液相中でPO基材を浸漬し微粒子を固定する手法によりPO基材を傷めること無くタングステン(W)微粒子を強固に固定することができる。その表面修飾の機構を考察するためにPO基材の表面状態とシラン系結合剤の分子構造が微粒子固定に与える影響を調べた。基材表面のSPM分析を行うとW微粒子が固定可能であるPO基材表面には板状結晶やラメラ構造が観察された。一方、一度熱処理したり顔料等を含んでいるとPO基材表面には高分子の整列は観察されなかった。この事からPE高分子が整列していないと固定される足場が無いためW微粒子が固定困難になると思われた。また結合剤分子の末端が基材組成と同じCH基を有する結合剤分子がW微粒子を多く固定できた。しかしW微粒子が固定可能なPO基材でも表面にスパッタ装置でAuコートを施すとW微粒子は全く固定出来なくなった。この結果から結合剤分子の末端基とPO基材とのCH基の疎水基相互作用によりW微粒子が固定されることが示唆された。
著者
三村 雄一 柴田 誠司 久田 茂 児玉 晃孝 吉田 正尚 増山 剛 成田 隆博 立花 滋博 古谷 真美 桑形 麻樹子 早川 和宏 青木 豊彦 細川 暁 牧 栄二
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.P-44, 2012

Wistar HannoverラットはSDラットに比して小型であり、生存率が高く、自然発生腫瘍が比較的少ないことから、安全性試験への利用が注目されている。今回、IGSラット研究会の活動として、4施設参画によるCrl:WI(Han)ラットの一般毒性試験に関する背景データの収集を実施した。下記の共通プロトコールを基に、各施設で試験条件を設定し、Crl:CD(SD)ラットの背景データとの比較を行った。共通プロトコール: • 観察・投与期間 : 4週、13週または26週 • 動物数 : 雌雄 n=10/ 性 (無処置または溶媒投与) • 飼育条件 : 任意 (実施施設で決定,飼料等の条件設定はしない) • 検査項目 : GLP 適用試験で実施する検査項目結果及びまとめ:Crl:WI(Han)ラットは、Crl:CD(SD)ラットと比較して、以下の特徴が認められた。なお、主要な所見について、施設間に相違は認められなかった。 • 体重及び摂餌量:低値 • 眼科学的検査:角膜混濁 頻度増加 • 血液学的検査:WBC、Platelet低値 • 血液生化学的検査:脂質系、AST及びALT低値 • 器官重量(相対):胸腺高値 • 眼の病理組織学的検査:角膜鉱質沈着 増加
著者
吉田 正尚
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.1H23, 2008

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性で後加工による着色等の表面修飾が非常に困難な材料である。そこで新たにシラン系結合剤と機能性微粒子を含む液相中でPO基材表面に微粒子を固定する、ゾルゲル法を基にした手法を独自に開発した。この方法によるとPE糸にダメージを与えること無くW微粒子を強固に固定でき高比重化等の表面修飾をすることができた。では何故PO基材に表面修飾できるのかを考察したところ、PE基材への熱処理実験と結晶性の異なるn-テトラコンタン基材へのW微粒子固定実験の結果から、PO基材への微粒子固定には高い結晶性が必要であると考えられた。またSEM観察の結果、W微粒子はPOが結晶化した部分に島を形成し、その島を起点として拡がるように基材表面を被覆していくものと思われた。
著者
吉田 正尚
出版者
福島県ハイテクプラザ
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般に表面不活性であり表面修飾が非常に困難な材料である。しかしシラン系結合剤(3-ルメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)と微粒子を含んだ攪拌液相中にPO基材を浸漬し表面に微粒子を固定していく独自の手法であれば表面修飾が可能である。今回は何故表面修飾が可能なのか更に考察した。1.PO基材に表面修飾出来るシラン系結合剤の化学的条件を調べた。即ちシラン系結合剤分子の末端結合基を(a)メタクリロキシ基(b)エポキシ基(c)アミノ基(d)イソシアネート基の4種類のシラン系結合剤1%水溶液中にタングステン(W)微粒子及びPE平板を同時に投入し時間毎に基材表面に固定されるW量を定量した。その結果W量は結合剤(a)を用いた時が最多であり他3種の結合剤は殆ど固定されなかった。故に結合剤の結合基はPO基材の表面修飾に大きな影響を与えることがわかった。2.表面修飾可能なPO基材の物理的条件を調べた。即ち走査型プローブ顕微鏡によりPO基材の表面状態を評価した。可能なPE基材(高結晶且つ顔料無)の表面には板状結晶やラメラ晶などの高分子の整列部分が多数存在した。一方困難なPE基材(低結晶又は顔料有)にはそれらは見られなかった。3.溶媒極性を変化させ本現象の駆動力について検討した。即ち溶媒を水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノールの順に極性低下させた時の各溶媒のW量は水が最多であった。また微粒子を投入せず結合剤のみ投入した場合の(a)〜(d)の各結合剤自体の固定量は結合基が非極性基である結合剤(a)が最多であった。このことは結合剤(a)は水分子間の水素結合ネットワークに入れず微粒子を伴いつつ水からはじかれる形で同じ非極性のPE基材表面に集まる現象即ち疎水性相互作用により微粒子固定されるものと推察された。