著者
藤田 博子 舘田 美保 田村 一 河村 宏
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.62, 2007

<Br>【目的】国立更生施設の理療教育課程(以下 理教)の必須科目である臨床実習において2名の実習生に心理教育的支援を実施したので経過を報告する。<br><br>【プロフィール】 事例1(X年度)は、40歳代、男性、網膜色素変性による視覚障害、軽度難聴あり、事例2(X+1年度)は、20歳代、男性、未熟児網膜症による視覚障害。2例とも理教専門課程3年生。支援開始時、教官らは臨床実習の単位習得及び課程修了の困難を危惧し、かつ指導の難しさ(コミュニケーションが難しい、やる気を感じられない)を感じていた。<br><br>【支援の経過】臨床実習の観察や本人・関係教官との面談等からの情報収集により心理教育的アセスメントを行なった。結果、事例1では、コミュニケーションの難しさの背後に難聴の存在があること、医療面接時に実施する質問内容が十分に身についていないこと、事例2では、青年期特有の職業を中心とした進路選択の課題、障害のある自己の捉え方の課題を抱え、かつ不安が強く自信がもてない状況にあることが明らかになった。そこで、週1回1時間半程度、各約8ヶ月間、教材開発の場を利用した支援を実施した。事例1では試作版の医療面接教材とロールプレイを用いた面接の練習方法の検討、事例2では試作版の医療面接教材の改定作業を行なった。この支援時の様子は本人の了解を得て適宜教官に伝えた。事例2では支援者会議を実施した。2例ともに、教材開発への無断欠席はなく、提示した資料などに意見を述べる等積極的な様子がみられた。また、支援終了時には臨床実習の単位取得、理教課程を修了することができた。<br><br>【考察】心理教育的支援は、事例を学習面、心理社会面、進路面、生活健康面と多角的な把握、指導・支援者の間に繋がりチーム形成を可能にし、多角的な支援を実現したものと考えられる。また、教材開発の場は、学生に自己研究の機会を提供し現実に向き合う態度を養ったものと推察する。

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