著者
太田 暁子 志垣 瞳 冨岡 典子 福本 タミ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.150, 2010

【目的】近年、食生活の変化から野菜の摂取不足が指摘されている。日本調理科学会近畿支部食文化分科会では近畿2府4県の家庭における野菜の利用について調査を実施した。奈良県では前報(20年・21年度大会)に続き、本報では行事食における野菜の利用について報告する。【方法】調査時期は2007年10月~2008年1月。奈良県在住の家庭の調理担当者を対象に、留め置き又は聞き取り調査を実施した。奈良市(以下、都市部)73件、奈良市周辺・山間部(以下、農村部)57件の回答から行事における野菜の利用について、地域別、年齢別に検討した。【結果】行事で利用する野菜は55種類あった。行事別に野菜の利用をみると、正月ではにんじんが22.6%と最も多く、次いで、ごぼう、れんこん、だいこんの根菜類が上位にあがり、この4種で正月に利用する野菜の69.2%を占め、煮しめ・なます・たたきごぼう・雑煮に利用された。七草では七草パックを使った七草粥、節分では巻きずしに三つ葉・かんぴょう、ひな祭りではちらしずしににんじん・れんこん、盆には供物になす、冬至では煮物にかぼちゃ、クリスマスではサラダや付け合せににんじん、大晦日では年越しそばに青ねぎの出現頻度が高かった。地域別で比較すると、都市部では正月・ひな祭りに野菜の利用が多かったが、一方、農村部では正月・端午の節供・春祭り・秋祭り・七夕・盆・祝い事など種々の行事に野菜が利用され、供物に不可欠なものとしても野菜は多く用いられたことから、都市部とは異なった食習慣の地域性が示唆された。年齢別にみる野菜の利用は、調理担当者が50歳以上の家庭では、正月・七草・盆の行事に野菜を多く利用し、50歳以下ではクリスマスにおける利用が多かった。また、冬至にかぼちゃを食べる習慣は地域・年齢・就業の違いに関わらず健康を願って食べられていた。

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