- 著者
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長屋 郁子
小川 宣子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.170, 2005
<br><B>目的:</B>日常から地域性を意識した食事をすることで伝統的な日本型食生活が継承され、心が満たされる食生活につながるのではないかと考える。そこで本研究では、地域における伝統的な食生活を把握するため、地域産物や旬の食材を活用した伝統食の伝承が岐阜県の中でも比較的残っている飛騨地域の日常食の特性を調べることを目的とした。<BR><B>方法:</B>調査は地域の特性を地域産物や伝統食の食材料及び調理方法から明らかにするため、日本の伝統的な日常食であるごはん、大豆料理、漬物をとりあげ、飛騨地域の特徴を調べた。調査対象は、飛騨地域の中でも最北部にあり鉱山で発展してきた神岡町の65歳から80歳の男女18名と、北西部に位置し12月から2月にかけての平均気温が神岡町の0.8℃に比べて-0.2℃と低い農山地である白川村の40歳から73歳の男女14名に聞き取り調査を行った。大豆料理は、比較として県庁所在地のある岐阜地域の女性12名にも聞き取り調査を実施した。<BR><B>結果:</B>白川村では日常食のごはんに近隣の山の産物を加えることが多く、栗飯、山菜おこわを食べる家庭がいずれも29%あり、これらは神岡町では食べられていなかった。飛騨地域の大豆料理には、朴葉にのせて焼く朴葉味噌、すがたつまで茹で水分が少ないため保存性が優れているこも豆腐、豆乳を利用したすったて汁といった岐阜地域ではみられない地域特有の調理方法があった。日常的に食べられている漬物は、野菜を切ってから塩で漬ける切り漬が神岡町67%、白川村28%と多かった。また漬物の利用方法として、古くなった切り漬を加熱調理し、煮たくもじや漬物ステーキとして食べる家庭が白川村では神岡町に比べて多く、冬季に漬物を温かくして食べる工夫がみられた。