著者
石井 貴子 宮澤 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.122, 2011

【<B>目的</B>】従来,行事食や儀礼食は各家庭において親から子へと伝承され,ハレの日の食事として共に祝ってきた。しかし近年では家庭から行事食等が消えつつあり,子の代に伝承されなくなってきた様に思われる。そこで食や栄養について学んでいる本学学生が,行事や儀礼およびそれらにまつわる食についてどれだけ認識・経験しているか,その現状を調査した報告を行う。<BR>【<B>方法</B>】2009年12月~2010年2月,本学学生およびその家族を対象に自記入式のアンケート用紙(調査用紙は日本調理科学会作成全国統一様式を使用)を配布し,後日回収した。今回はその中より本学学生190名(全体の82%)を調査対象とし,行事17種,儀礼13種の認知度等について集計を行った。<BR>【<B>結果と考察</B>】認知度の高い行事は大晦日,正月・節分・クリスマスであり,これらの行事を認知している人の90%以上が経験もしていた。逆に認知度の低い行事は,重陽の節句であった。また喫食経験率の高いものは,クリスマスケーキ,冬至の南瓜,年越しそば,うなぎの蒲焼であった。低いものとして重陽の節句の菊酒の経験が一人だけあった。通過儀礼では七五三,誕生日,成人式の認知度が高く,低いものはお七夜,百日祝いであった。儀礼食では,お赤飯(小豆飯)が祝い事の席ではよく食べられていた。また誕生日のケーキ,千歳飴の喫食率が高かった。行事・儀礼いずれも認知度・喫食率の高いものは,各家庭や各種教育機関等での経験,食材や料理の調達しやすさ,マスコミュニケーションの影響が考えられる。またお七夜や百日祝いは対象が生後間もない頃の儀礼のため,本人の認知度が低かったと考えられる。

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