著者
松島 文子 板倉 一枝 横山 弥枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.134, 2011

【<B>目的</B>】平成21・22年度日本調理科学会特別研究として、「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」についての調査研究が全国規模で実施された。この調査の一環として、鳥取県における年中行事や通過儀礼の際の行事食について認知や喫食の状況を調べ、行事食の伝承や地域特性などを明らかにすることを目的として実態調査を行った。<BR>【方法】鳥取県内にあるT短期大学の学生194名およびその親族を調査対象(総数342名)として、平成21年12月から平成22年1月にかけて、特別研究全国統一様式の調査票により、年中行事や通過儀礼で供される食べ物の認知、喫食状況、調理状況や食べ方、変容した時期などの調査項目についてアンケート調査を実施した。<BR>【結果】調査対象学生の現在の居住地域は鳥取県が92.3%を占め、そのうちの62%が鳥取県に10年以上居住していた。学生の喫食経験の頻度が高い行事食は正月、彼岸などであり、次いで七草、節分、土用の丑、クリスマス、大みそかなどであった。一方、盂蘭盆、七夕、祭りなどは喫食経験が少なかった。通過儀礼について認知度が高かったのは、学生では出産祝い、初誕生、七五三、成人式、結納、婚礼、長寿、葬儀であり、お七夜、百日祝い、厄払いは低かった。親族ではすべての儀礼に対する認知度が高かった。行事食の影響を受けた相手として、母方が49.4%と約半数を占め、父方は14.9%であった。正月に小豆雑煮を喫食する食文化が鳥取県全域において認められた。小豆雑煮が雑煮全体の60%前後を占め、次いですまし仕立てであり、味噌仕立ては少なかった。また雑煮の餅は丸餅が多く、ほとんどが茹でて供されていることが確認された。

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