著者
天野 宏司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.39, 2002

昭和2∼3年にかけ, 富山県内最大手の電気事業者, 富山電気(株)に対し, 電気料金引き下げを要求する電気争議が発生した。需要者側は電力料金の供託による不払い運動を全県下で展開し, これに対し富山電気(株)側は運動の中心人物に対し, 配電線を切断して供給を停止した結果, 全町村を挙げて電球返納·不買運動へと激化していく。この事態に際し, 地元町村自治体はランプの購入代金を補助するほか, 自治体経営による公営電気事業の設立を指向する。最終的に富山電気争議は知事の調停により収束するが, 解決後に富山県自身が発電事業のみを行っていた県営電気事業へ県下の電気事業者を統合しようとしていく。富山電気争議をきっかけとし, 全国的に電気争議が発生するが, 大正末から昭和初頭にかけ, 電気事業者が合併により企業数を減じている一方で公営電気事業は増加していった。背景として電灯争議をきっかけとした公営化を要因の一つと位置づける。

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