- 著者
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久島 裕
伊藤 悟
鵜川 義弘
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2016, 2016
ARシステムの活用を試みた本授業では、観光ルートの策定をテーマとした。すなわち、生徒自身が市役所の観光課に勤務しているものと仮定し、市外から来た観光客向けの観光マップに記載する観光ルートを考案することとした。当日の参加者は高校生2人1組のペア3組と指導する教師(授業者)1名である。<br> 授業者が各組共通に指定した3か所の観光スポットを結ぶルートの策定を求める一方で、「安全性(見通しのよさ、交通量、迷いやすさ)を意識したルート」、「商業性(観光客による商店の利用期待)を意識したルート」、「景観性(風情のある小道、歴史的な建物、自然)を意識したルート」のように、組ごとに相異なるテーマを意識しながらルート策定を行なうものとした。<br> 実施場所は高校から近い武生駅前商店街とその周辺である。上記で指定した3か所の観光スポットを含めて20か所近くのスポットをコンテンツとしてシステムに組み込み、それらの位置がエアタグで表示されるようにした。<br> 授業は60分の間に、まず、全員が一緒に出発地点からjunaioを使って歩き始め、3つの観光スポットの位置をエアタグでたどり、各地点に到着できたら紙の地形図に場所をチェックした。三つ目の観光スポットの位置を紙地図上でチェックできた後は各組に分かれ、タブレット内のエアタグと、周囲の様子を確認し合いながら観光ルートを思考、議論しながら回った。その際、ルート策定において重要と思われる要素(建物、道路、その他)があれば、タブレットを利用して撮影を行うこととした。 終了5分前までに出発地点に戻り、各組で考えた観光ルートを紙の地形図に赤ペンで書き込んだ。<br> ARシステム活用の効果としては、(1) 紙の地図と違い、画面を通して実際の様子を把握できるため、テーマに即した思考・判断が可能、(2) 紙の地図では城下町の街路形態から道に迷いやすいが、目的地の「方向」や「距離」を把握しやすい、(3) 調査時の生徒の楽しそうな様子から、生徒の関心・意欲の向上には大きく寄与した、などが考えられた。