著者
寺本 潔
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.276, 2011

小学校からの地図、地球儀学習の必要性を提案する。とりわけ地球儀学習は重要である。地球儀には、多くの印字も見られ、アームやリングにも目盛が付けられている。これらの数字にいきなり入るのは、児童にとって難しい印象を与えるので避けたいが、見慣れている世界全図と地球儀を比べさせることから始めたい。そうすれば、描かれている大陸や海洋の形や大きさが違う、縦と横にいろいろな線が引いてあるが地球儀の線は曲がっている、地球儀だと回転できるので面白いなどと言った意見が出てくる。これらを丁寧に注視させたり、経線や緯線を指でなぞらせたりしながら、地球儀に親しんでもらうことが先決である。特に緯線は、「日本と同じ緯度にある国々はどんな国ですか?」「地球儀で眺めると暖かい土地や寒い土地、中ぐらいの気温の土地などがよくわかります。」「わたしたちの住む日本は、どの州に属していますか?自然の条件で呼ぶ『大陸』ごと、で分けるやり方と違って人間が住む土地の様子で呼び分ける『州』という呼び方で世界を分ける方法もあります。」などと解説して指導したい。州で世界を区分する内容は、教科書には載っていないが、現行の『地図帳』には掲載されている。世界の大陸名が記入してある地図と合わせて、アジアを中心にした西半球図とアメリカを中心にした東半球図という平面の地球図も用いながら、大陸や海洋の広がり、5つの州の名前、経線や緯線を扱うと良い。北回帰線や南回帰線という見慣れない用語も『地図帳』で目にするが、深入りは避けたい。もし児童が質問をしてきたら、「回帰線という線の真上に太陽が見える日があり、その日には真上から光が差すので立っている人の陰ができないのです。夏至の日には北回帰線に、冬至には南回帰線の真上から太陽の光が注ぐのです。」と説明する。地図や地球儀を扱える技能を明確に学力として位置づけるべきであろう。

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