著者
大島 英幹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.194, 2011

<B>I はじめに</B><BR> 商業中心地の階層構造の変化については、根田(1985)が小地域の事業所統計を、橋本(1992)が職業別電話帳を用いて分析しているが、データ作成・解析の作業量が膨大になる。本研究では、商業統計立地環境特性別統計編の商業集積地区別集計を用いた簡便な方法により、広範囲にわたり、多時点の変化を商業集積地区(大規模小売店舗を含む商店街)単位で把握した。<BR><B>II 研究方法</B><BR> 東京南西郊外の私鉄5路線のターミナル駅を除いた108駅について、駅周辺の商業集積地区の商品販売額が両隣の駅周辺よりも多い場合、「上位の中心地」とした(図1)。1979~2007年の間の6時点について、上位の中心地が隣の駅と入れ替わるかどうかを見た。<BR><B>III 中心地の階層構造の変化</B><BR> 2007年時点の上位の中心地41駅のうち6駅は、1979年時点では隣の駅の方が上位の中心地であった。中央林間駅の場合、商品販売額の増加が隣の南林間駅の増加を追い抜いている(図2)。湘南台駅と長後駅、新百合ヶ丘駅と百合ヶ丘駅も同様である。日吉駅の場合は、商品販売額が増加するのと同時に、隣の綱島駅の商品販売額が減少して入れ替わった。海老名駅と本厚木駅も同様である。菊名駅の場合、隣の大倉山駅と抜きつ抜かれつを繰り返している。<BR> これに対し、あざみ野駅の場合、商品販売額が増加を始めるものの、隣のたまプラーザ駅には追い付けなかった。相模大野駅と町田駅も同様である。<BR><B>IV 階層構造変化の要因</B><BR>階層構造変化の要因として、駅間距離、乗り入れ路線の増加、大型小売店の出店、都市計画の誘導、人口の密度および世代構成などが考えられる。<BR><B>参考文献</B><BR>根田克彦 1985.仙台市における小売商業地の分布とその変容-1972年と1981年との比較-.地理学評論58(Ser. A)-11 715~733.<BR>橋本雄一 1992.三浦半島における中心地システムの変容.地理学評論65A-9 665-688.<BR>

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