著者
真宮 靖治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.114, pp.123, 2003

マツノザイセンチュウのマツ樹体内における生息実態については、樹体の病状進展経過や枯死後の時間的経過との関連で、とくにその個体数変動が明らかにされてきた。マツの発病後30日前後で、樹体内の線虫個体数はピークに達したあと減少する。このような変動傾向について、マツノザイセンチュウのマツ樹体内における摂食行動との関連が予想された。また、個体数の変動には菌類の影響も考えられた。これらの視点に立って、マツ丸太に対するマツノザイセンチュウの接種実験を行った。伐倒直後丸太に対する接種、伐倒後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月をそれぞれ経過した丸太に対する接種、の4処理区を設定し、各区5本ずつの丸太を供試した。線虫接種後、経時的に各処理区丸太から材片を採取して線虫分離を行った。接種後、マツノザイセンチュウは丸太材内で増殖し、1ヵ月後に個体数増加のピークに達したあと減少していった。このような個体数変動の傾向は各処理区で共通していた。伐倒後の時間経過は線虫増殖に明らかな影響を及ぼした。伐倒直後に比べ、1ヶ月以上経過後、線虫接種した丸太では、線虫個体数は少なかった。とくに、3ヶ月経過後接種の処理区では、線虫はほとんど増殖しなかった。このような増殖経過から、マツノザイセンチュウはより新鮮なマツ材組織での増殖が有利であり、この場合、柔細胞などのマツ材組織を主要な食餌源としている可能性が示唆された。伐倒直後の丸太に線虫を接種したあと1ヶ月経過した丸太に対して、ヒラタケとシイタケをそれぞれ接種する区を設定し、丸太材内における線虫増殖経過を追った。ヒラタケを接種した丸太では、線虫個体数が減少した。シイタケ接種の影響は見られなかった。ヒラタケが示した線虫個体数抑制効果は、自然条件下、マツ枯死木材内での線虫個体数変動における、木材腐朽菌をはじめとする各種微生物の影響を示唆した。

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