著者
赤井 純治 中牟田 義博
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.139, 2004

ユレイライト中のダイヤモンドの起源については、ショックによることが指摘され ている(Nakamuta and Aoki, 2000)。南極隕石であるユレイライトY-74130の中に含 まれる炭素鉱物についてガンドルフィカメラで検討すると、ダイヤモンド、グラファ イト、コンプレストグラファイトが確認された(Nakamuta and Aoki, 2001)。炭素鉱物以 外ではカマサイト、マグヘマイト、トロイライト、シュライバーサイト等が少量含ま れる。このガンドルフィカメラで検討された試料について、高分解能電顕観察を行 い、それらの相互関係、それらの生成過程について推定を試みた。 試料は100μm程度のグレインであったが、混合物であった為に、そのまま超硬合 金で圧砕して粉砕し、エタノールで軽く分散し、金のみを蒸着グして補強して作った マイクログリッド上に滴下、乾燥させて試料調整を行った。粉砕はしたが、混合物は 局所的な組織は残していると考えられる。用いた電顕はJEM2010、200kVで観察 した。得られた高分解能写真では、1)それほど分散化してない粒子で、極めて多種の鉱物が混在分布することがわかった。2)ダイヤモンドはこれらの粒のうちでは比較的大きな粒子として存在した。3)グラファイトだけが濃集している部分もみられた。グラファイトはかなり厚みの ある比較的結晶度のよいものの他に、積層数が少なく結晶度があまりよくないものも 存在する。また、板状のグラファイトのなかでも積層状態があまりよくないものもみ られ、多様な状態があることが観察された。4)ダイヤモンドのグレインで、ダイヤモンドの3方向の{111}格子像が広く見られ る (2Å)。2Åの{111}面の格子像のごく一部、この2Åの倍周期にコントラスト を示す部分が存在する。5)このダイヤモンド{111}格子像にほぼ平行にグラファイト(001)格子(3.4Å) が並び、ダイヤモンド{111}格子像に移化するようにみえる部分が存在した。これ は、グラファイトからダイヤモンドへの構造変化の過程をみているものと解釈でき る。 6)移化の途中でも約4Å周期に対応する格子が見られる(これがコンプレストグラフ ァイトに近い構造かと推定される)。以上から、このダイヤモンドはショックにより、グラファイトから転移して生成した ものであること、その転移の途中が、ごく一部のこされていること、一部ダイヤモン ドは、{111}面の2倍周期つまり、六方構造に近い構造をとっているの可能性がしめ された。これらの結果は、コンプレストグラファイトの非常にブロードな回折線、プリズム反 射のダイヤモンド回折線等.X線的特徴(Nakamuta and Aoki, 2001)と調和的であ る。Ref. Nakamuta and Aoki (2001) Meteor. & Planet. Sci., 36, A146 (abstract).

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