著者
鶴田 燃海 向井 譲
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>染井吉野(ソメイヨシノ)は、日本で最も親しまれているサクラ(バラ科サクラ属)の園芸品種で、エドヒガンとオオシマザクラとの雑種であるといわれている。本研究は連鎖地図を利用することで、ゲノム全体にわたりかつ染色体ごとに、染井吉野の由来を推定した。染井吉野の交雑家系を用いた連鎖解析により、SSRマーカー27座の対立遺伝子が、どちらの染色体に座乗していたかを決定した。これと同時に、対立遺伝子がエドヒガン、オオシマザクラそれぞれ3集団にどれほど保持されているかを調べた。この対立遺伝子頻度から、54個の染井吉野の対立遺伝子のうち、44.4%がエドヒガン由来、33.3%がオオシマザクラ由来と推定された。残りの22.2%は、どちらの種でも頻繁に見られるまたは両種ともに稀な対立遺伝子のため、由来は不明であった。染色体ごとにみると、複数の染色体でエドヒガンとオオシマザクラに由来する領域とが混在していた。この結果は、染井吉野の染色体が乗り換えを経て形成されたことを意味し、染井吉野がエドヒガンとオオシマザクラ間の一回の種間交雑による雑種ではなく、より複雑な交雑に由来することが示唆された。</p>

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