著者
森川 敏生 松尾 一彦 八幡 郁子 二宮 清文 村岡 修 中山 隆志
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2014

<p>1.はじめに</p><p> ケモカインは,白血球やリンパ球などの免疫担当細胞の細胞遊走を誘導するサイトカインとして広く認識されており,現在までにヒトにおいては50種類近くのリガンドと18種類のシグナル伝達型受容体が知られ,さらに5種類のスカベンジャー/デコイ型受容体も存在する.ケモカインにはよく保存された4つのシステイン残基が存在し,そのうちのN端側の2つのシステイン残基が形成するモチーフにより,CXC,CC,CX3CおよびXCの4つのサブファミリーに分類される.これらのケモカインは免疫応答の制御にとどまらず,アレルギー疾患,自己免疫疾患,感染症やがんの病態発症においても重要な役割を果たしていることが明らかとなっている.近年,種々の疾患の発症や増悪などのキーファクターとなるケモカインおよびその受容体が解明されるにつれ,新たな創薬ターゲットとしてケモカイン受容体アンタゴニストの探索が精力的に展開されている.アレルギー疾患の発症や増悪に関与するケモカイン受容体として,CCR3,CCR4およびCCR8が挙げられる.これらのなかでCCR3は,好酸球の最も主要な遊走制御因子であり,好酸球,好塩基球およびTh2細胞の一部に選択的に発現する (Figure 1).<sup>1,2)</sup> </p><p> </p><p> </p><p> 我々はアレルギー疾患をはじめとした難治性炎症性疾患の新たな治療薬シーズの探索研究として,これまでにi.肥満細胞のモデル細胞であるラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3) を用いた抗原刺激による脱顆粒抑制活性およびTNF-αおよびIL-4産生抑制活性,ii.マウス受身浮腫アナフィラキシー (PCA) に対する抑制作用 (in vivo),iii.マクロファージ様 RAW264.7 細胞を用いたリポ多糖 (LPS, lipopolysaccharide) 誘発一酸化窒素 (NO) あるいはiNOS 発現抑制活性,およびiv. HL-60 細胞由来好中球様細胞からの fMLP (N-formylmethionyl-leucyl-phenylalanine) 刺激による脱顆粒抑制活性,などを指標として検討してきた.<sup>3)</sup>これらの生物活性評価試験において見いだされた天然資源について,単一のケモカイン受容体のみを遺伝子工学的に過剰発現し樹立したケモカイン受容体安定発現細胞株を用い,細胞遊走阻害活性を指標として種々のケモカイン受容体に対するアンタゴニストの探索を行った.その結果,薬用のみならず香辛料として食用にも用いられるメース[ニクズク科(Myristicaceae) 植物Myristica fragrans Houtt. 仮種皮]のメタノール抽出エキスに,CCR3選択的なアンタゴニスト活性を見いだしたことから,その活性寄与成分の探索に着手した.</p><p>2.メタノール抽出エキスのケモカイン受容体アンタゴニスト作用試験</p><p> マウスB細胞株L1.2 細胞を用い各種ケモカイン受容体を過剰発現させた細胞株を樹立し,ケモタキシスチャンバーを用いた細胞遊走抑制作用を指標にアンタゴニスト作用を評価した.すなわち,各発現細胞を細胞遊走バッファー (0.5% BSA,20 mM HEPES pH7.4,RPMI-1640 without phenol red) で洗浄を 2 回行った後,8 × 10<sup>6</sup> cells/mL となるように懸濁した.リガンドとなるケモカインを細胞遊走バッファーで希釈して下部ウェル</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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こんな論文どうですか? メース(Myristica fragrans,仮種皮)のケモカイン受容体CCR3選択的アンタゴニスト作用を指標とした抗アレルギー作用成分の探索(森川 敏生ほか),2014 https://t.co/CZQZqLhTDS

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