- 著者
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ガンガ 伸子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.70, pp.244, 2018
【目的】わが国では、高齢者世帯の増加を背景に、消費市場では高齢者消費の割合が増加傾向にあり存在感を増している。その一方で、貧困化する高齢者が増加の一途をたどり、生活保護世帯の半数以上を高齢者世帯が占めるに至っている。現役引退後の高齢者世帯は、消費が所得を上回り、貯蓄の取り崩しによって赤字を補填するという生活になる。しかしながら、晩婚化の進行等により、十分な老後の資産形成ができないまま高齢期を迎える世帯が拡大し、金融資産の保有状況により消費生活の内容に大きな違いが生じるという高齢者世帯の二極化が進んでいる。そこで、高齢者世帯のバランスシートを作成し、他の年齢階級との比較から、その特徴を明らかにしていく。<br>【方法】総務省統計局「全国消費実態調査」から世帯主の年齢階級ごとにバランスシートを作成し、高齢者世帯(世帯主が60-69歳、70歳以上)の特徴を明らかにする。その他、就業状況や住宅の所有等の違いによる比較も行う。さらには、時間の経過とともに、どのように高齢者世帯のバランスシートが変化してきたかについても明らかにする。<br>【結果】世帯主の年齢階級間でバランスシートを比較すると、世帯主が60歳代の世帯の純資産が最も大きく、その後貯蓄の取り崩しにより70歳以上では減少している。負債は世帯主40歳代以降年齢とともに減少していくものの、60歳代や70歳以上になっても住宅・土地のための負債が残っているという現状であった。