著者
渡辺 博明
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-25, 2005

スウェーデンでは、1920年代以降、最大勢力の社会民主主義を中心に、共産主義、保守主義、自由主義、農民勢力のそれぞれの政党からなる5 党制の時代が長く続いた。 しかし、1980年代末から新党の参入が相次ぎ、長期安定を誇った同国の政党システムにも明確な変化が表れた。 その背景には、政党支持構造の流動化と政治的争点の多様化があった。他方、そうした変化が進む中でも、主要政党が左派と右派に分かれて対峙する「ブロック政治」の枠組みは、双方に新たな政党を加える形で存続し、それと結びついた社民党の優位も続いている。こうしたことから、スウェーデンの政党システムについては、時とともに不安定化要因を多く抱え込みながらも、今までのところ、包括的な対抗軸に基づいて作動する従来の形態が辛うじて維持されているといえる。

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