著者
岩﨑 昌子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.39-48, 2009

ノルウェーの新右翼政党 「進歩党」 は、1980年代後半から、流入する移民の急増とともに台頭を始めた。従来のノルウェーの移民政策は、移民を「ノルウェー語を話せない」ハンディキャプトと見なし、ネイティブ・ノルウェー人との社会的平等を図るための特別の支援を行うというものであった。進歩党は、これをノルウェー人への逆差別であると批判する。この主張は、多文化化が進行する中で有権者から一定の支持を得るが、既存政党が従来の路線に結集する中で、進歩党は徐々に反移民票を失う。その結果、ノルウェーの移民政策は従来の路線を踏襲することとなった。これは、移民を福祉国家の「社会的連帯」の範疇に含めることに、ネイティブが同意したことを意味すると考えられるだろう。この「社会的連帯」の再構築は、 進歩党が移民問題を政治アリーナに持ち込んだことによって、初めて確固たるものとなったのではないかと考えられる。

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