著者
平本 毅 山内 裕
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.286-302, 2018

<p>本稿ではサービス場面における時間がサービス提供者と消費者の相互行為により意味付けされる過程を解明する.カフェで落ち着いた時間を過ごすことや,クラブで楽しい時間を過ごすことのように,サービス場面における時間への意味付けは,そのサービスの価値の一部になっている.近年のサービス中心論理の議論を援用しながら,相互行為の中でいかにして時間が意味付けされるかを調べることが,サービスの価値を行為者が共創する過程の経験的分析になることを指摘する.この経験的研究の一例として,本稿では江戸前鮨屋の注文場面の会話分析を行う.具体的には,職人が客に注文を伺った後に,つけ台(カウンター)を拭いたり包丁を洗ったりといった手元の作業に従事するというプラクティスに着目し,このプラクティスの詳細を解明する.このプラクティスは,その場に適切な注文品をじっくり選ぶ時間を客に与える.分析結果をふまえて,客に適切な注文品を選ぶ時間を与えることにより,相互行為の中でサービスの価値が共創されていることが論じられる.</p>

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鮨屋の注文場面における「時間」への意味付与の会話分析 https://t.co/t8GJ4wJX53

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