- 著者
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菊 幸一
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.69, pp.8_1, 2018
<p> 学校運動部活動が揺れている。少なくとも、この伝統的な活動を支えてきた人的資源である中高校教員によるボランティアパワーは、「働き方改革」という労働「問題」から、そのあり方が鋭く批判されている。他方、この問題は地域の中の学校という地域スポーツの観点から、これまで国が進めてきた総合型地域スポーツクラブ政策とリンクする形で、その主体を学校外の地域に移す考え方によって解決をめざす方向性が模索され、そのガイドラインが平成30年3月にスポーツ庁から公表されたところでもある。</p><p> このような昨今の動向において、これまで大きく運動部活動によって支えられてきたと思われる「体育界」や「スポーツ界」からの意見はあまり聞かれない。そこで、すでに遅きに失した感もあるとはいえ、この問題に対する科学的研究の立場(今回は主に人文・社会科学分野)から、その過去と現在を議論し未来を展望することは、今後の学校運動部活動のよりよい方向性を考えていく上で重要だと思われる。また、この議論からみえてくるガイドラインの向こう側に予測される課題を明らかにしておくことは、今後の学会による諮問形成においても重要なことと考えられる。</p>