著者
平間 一樹 大塚 祐輔 横田 賀英子 和智 妙子 渡邉 和美
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.1-14, 2019

<p>本研究の目的は(1)潜在クラス分析を用いて,犯行前の意思決定行動に基づいて連続強姦事件の犯人を分類すること,(2)類似した犯行様式を表出する犯人は類似した犯人特徴を有するという相同仮説を検証すること,であった。「被害者就寝時侵入接近型」,「屋外襲撃型」,「非暴力的接近型」,「被害者非就寝時侵入接近型」の4つの類型が見出された。類型と強姦事件の犯人の特徴との間に有意な関連が認められた。「被害者就寝時侵入接近型」に分類された強姦事件の犯人は,犯行前の犯行場所の下見や,金品窃取の意図といったような,侵入盗犯に類似した特徴がみられた。「屋外襲撃型」に分類された強姦事件の犯人は,他の類型と比較して,若年であることや,居住地直近では犯行を行わない傾向が認められた。「非暴力的接近型」に分類された強姦事件の犯人は,機会的な対象選択の傾向を有し,他の類型と比較して,より遠くまで移動している傾向にあった。「被害者非就寝時侵入接近型」に分類された強姦事件の犯人は,「被害者就寝時侵入接近型」よりも金品窃取の意図を有する傾向は少なかった。本研究の結果は相同仮説を支持するが,強姦事件の犯人の犯行前の意思決定行動と,犯人の特徴との関連の強さは,小から中程度であった。</p>

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