- 著者
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延廣 竜彦
佐々木 尚三
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.130, 2019
<p>上川地方南部の南富良野町に位置する人工林流域において、グラップルとレーキブレードを組み合わせた林業用機械を用いた地がき処理を2015年7月に行った。地がきは筋状にササ類の根系と表層土壌を剥ぎ取った(地がき帯)。剥ぎ取った土壌は地がき筋間(残し帯)にまとめ置いた。このような地がき斜面上に土砂受け箱を設置し、2015年8月から土砂発生量の観測を行った。同時に、流域末端の簡易堰堤において流量・土砂濃度を観測し、土砂流出量を求めた。土砂発生量は地がき帯、残し帯ともに地がき後2~3年で森林土壌と同程度まで低下した。これは地がき後に植生が回復し、同時に土壌表面が落葉等で覆われることによって土壌の浸食速度が大きく低下したためと考えられた。2015年の地がき直後には流量増加時に土砂濃度が大きく上昇するケースが認められたが、渓床が大きく浸食された2016年の台風時を除けば流量の増加に対する土砂濃度のピーク値は低下傾向にあり、結果として土砂流出量も大きく低下した。以上より、地がき後の土砂発生量・土砂流出量の低下傾向は植生回復の程度に影響を受けると考えられた。</p>