著者
岡本 透 志知 幸治 池田 重人
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>東北地方の日本海側における江戸時代のスギの分布変化を解明するにあたり、秋田県を対象にして絵図の有効性を検討した。江戸時代初期の山地植生を正保国絵図とその郷帳により確認した。郷帳の山林の種別は、由利領は「芝山」「松山」など細分されていたが、秋田領は森林全般を示す「はへ山」のみであった。国絵図の描写を郷帳の記載と比較すると、由利領はおおむね山林種別ごとに描き分けられていた。一方、秋田領は「はへ山」にあたる場所に「杦山」「雑木」と注記があり、針葉樹と広葉樹が描き分けられていた。秋田藩では17世紀後半には森林資源の減少が進み、領内の森林資源の調査が進められた。山絵図が作成された地域では、その注記により当時の植生や林相の推測が可能である。また、同時期に作成数が増加した山論、水論などに関わる裁許絵図の中にも植生や土地利用が詳しく記載されるものがあり、利用することができる。秋田藩は19世紀始めに抜本的な林政改革を行い、山林区分ごとに絵図を数多く作成した。こうした大縮尺の山絵図では、描写による情報だけでなく、樹種や林相が注記されることが多いため、当時の植生の分布や状況を把握することができる。</p>

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (2 users, 2 posts, 0 favorites)

絵図から読み解く近年のスギの分布変化 https://t.co/3v3LgdYFoy ※抄録

収集済み URL リスト