著者
大島 順子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p> 世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が、2018年5月国際自然保護連合(IUCN)から登録延期の勧告を受け、日本政府が登録推薦を取り下げたことは記憶に新しい。行政が主導してきたこれまでの取組みに対し、多くの地域住民は登録に向けて様々な不安や危機感を持ち合わせている状況下にある。それは、「登録だけ」が目的にされ、そこに暮らす生活者の視点からの世界遺産の意義やその影響が具体的に語られないことも一因と言える。 筆者は、以前より地域の指導者と共にやんばるの森及びそこに生息する動植物の環境保全とその利活用において潜在的に地域が抱える課題について検討し、その解決に向けた取組みとして多様な学びの場を企画・運営している。今回は、やんばるの森の管理体系および林業に従事している人々に対する理解を深め、やんばるの森の活用の在り方を探ることを目的とした大学主催の公開講座の成果を報告する。世界自然遺産候補地の自然環境はそこに住む人々の生活の場でもあり、そこで林業に携わる人々と都市部に住む人々との間で体験型の学びの交流を通した再文脈化を図る学習の場としての機能を持ち合わせている。</p>

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