- 著者
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神田 幸彦
原 稔
- 出版者
- 日本音声言語医学会
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.2, pp.105-112, 2019
<p>日本における人工内耳小児の実態調査から人工内耳小児症例は増加し,両側人工内耳症例も増加傾向にある.両側人工内耳の効果は初回人工内耳よりも静寂時,雑音下においても語音明瞭度が優位に改善され,また方向性の改善や逐次人工内耳側からの聴取の改善,耳鳴の改善など有効な報告が多い.一方で一側ろうの症例のハンディキャップも近年クローズアップされ,海外では一側ろうへの人工内耳も開始され有効性も報告されるようになってきた.また,人工内耳術後の聴覚活用教育も重要であり,聴覚活用教育を強化する意味での音楽療法も効果的である.早期発見や,早期診断,早期補聴,ガイドラインのより良い方向への変遷,検査機器の進歩,補聴器や人工内耳の進歩,教育の進歩などより,難聴児にかかわる聴覚専門の言語聴覚士はさまざまな将来性豊かな可能性を秘めている.</p>