著者
吉田 文
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:13440063)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.11-37, 2018

<p> 学生の多様化という問題が,どのように認識されどのように論じられたか,1960年代と2000年代の日本を対象に,各種の審議会の答申をもとに,イギリスとの対比で検討した.日本では,学生のメリトクラティックな選抜という観点が強く,高等教育の拡大は,能力のない学生の増加とみなされ,学生層の多様化に関しては否定的な見解が主流である.他方で,イギリスでは,1960年代以来,高等教育の拡大は,不利な背景をもつ学生層への教育の機会の提供として捉えられ,それの実現に向けての施策がとられてきた.こうした差異が生じる理由は,議論の前提としての社会的公正という理念の受容,教育拡大を社会的効用と関連して考える観点,教育拡大の結果を示す高等教育研究の蓄積によるといってよいだろう.</p>

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"イギリスでは,潜在的な能力保持者を見出すことを目的として,高等教育の機会に与ることのできない者への機会の拡大は,長きにわたるミッション" →社会的公正の手段としての「高等教育」の存在

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