著者
小泉 義之
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.82-94, 2013

社会(科)学の使命の一つは,システムや構造の分析であろう.システムや構造は,個人の意見や行動の集積以上のものである.そして,システムや構造は,各種の問題を作り出しては,個人の意見や行動を掻き立てるものでもある. しかも,システムや構造は,個人の意見や行動を「民主主義」によって掻き立て「熟議」を通して特定の解決へと縮減させるものでもある.本論考は, このようなシステムや構造に目を向けている三つの文献,すなわち,開沼博『フクシマの正義』,松本三和夫『知の失敗と社会』,宇野重規・田村哲樹・山崎望『デモクラシーの擁護』を検討する.本論考は,それら三つの文献が,再帰的近代化論とリスク社会論のフレームによって規定されることを示す.そして,そこにテクノクラシーとデモクラシーの相補性があることを確認し,それは何らかの閉じた回路をなしていることを示唆する.ただし,本論考はその閉じた回路を十分に記述してはいない.そもそも,十分に記述することで閉じた回路を想像的に再現するべきか,それとも,その回路は実は閉じていないことを別の仕方で示すことに期待するべきか,それがまさに開かれた問いとして残されるからである.

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[小泉義之][哲学][社会学] 小泉義之(2013)「社会(科)学の啓蒙的な論調について」 福祉社会学研究 10(0), 82-94, 2013, 福祉社会学会.

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まあ、社会運動は「「左翼的なもの」の弱体化の中に偶然的にせよ生まれたオアシスを媒介に繰り広げられる,年長者のノスタルジーと若者の居場所作りとの奇妙な共鳴」の場でしかない」 「新たな社会運動」は「変革の可能性を遠ざける効果すら持っている」と #開沼博 は断定する https://t.co/JsvkbCKiVy

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