- 著者
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菊政 俊平
國部 雅大
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.70, pp.128_3, 2019
<p> 本研究では、試合状況に関する情報が野球の捕手におけるプレー指示場面での状況判断に及ぼす影響について検討することを目的とした。大学硬式野球部の捕手10名を対象に、ノーアウトランナー1塁での投手に対する送りバントの映像を呈示した。対象者は4条件(1回同点、9回1点ビハインド、9回同点、9回1点リード)のもと、対応するボタンを押すことによって1塁または2塁への送球に関する判断(投手への指示)を行った。全試行終了後、試合状況による判断の方略の違いについて言語報告を行った。その結果、9回1点ビハインドの状況では、1回同点の状況や9回1点リードの状況に比べて、より多く2塁への送球を指示するバイアスをかけた判断を行っていることが明らかになった。さらに、1回同点や9回1点リードの状況では誤った判断によって複数失点の可能性が高い状況(無死1,2塁)が生じるリスクを回避する傾向が強く、9回同点や9回1点ビハインドの状況ではリスク回避的な傾向を弱くしていることが示された。これらの結果から、捕手は試合状況によって意識的に異なる判断の方略を選択しており、その選択に応じて判断のバイアスが変化することが示唆された。</p>