著者
太田 慧
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>1. はじめに 南西諸島西部に位置する宮古島市は,主に宮古島,伊良部島,下地島から構成されている。宮古島市内には,宮古島の西部に位置する宮古空港と,下地島に位置する下地島空港の2つの空港が存在している。宮古空港は1989年に東京への直行便が就航して以来,本州からの観光客が増加している。一方,下地島空港はパイロットの訓練用の飛行場であったが,2019年3月に旅客用ターミナルの供用が開始され,本州との間に定期便が就航したほか,香港との国際線も就航した。これにより,東京や大阪などの国内大都市圏や海外からの観光客の増加やリゾート開発にともなう島内経済への大きな影響が見込まれている。また,2015年には宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋が開通し,宮古島と伊良部島,下地島間の往来が活発になっている。そこで,本報告ではまず,沖縄県宮古島市における宿泊施設の分布状況を利用料金別に概観し,現在の観光開発の状況について報告する。</p><p>2. データの作成 宿泊施設のデータについては,大手旅行サイト「じゃらんnet」に掲載されている宮古島市に立地する宿泊施設情報から,2020年1月18日時点の大人2名利用時の目安となる宿泊料金を抽出し,116件のデータを得た。その結果,大人2名利用時の料金目安として3,000円未満の宿泊施設数は14軒,3,000〜10,000円未満の宿泊施設数は75軒,10,000〜20,000円未満の宿泊施設数は16軒,20,000円以上の宿泊施設数は11軒であった。これらの結果と分布状況を示したものが図1である。</p><p>3. 利用料金別にみた宿泊施設の分布傾向 図1によれば,宮古島における宿泊施設は宮古島市役所をはじめとする行政機能や島内最大の繁華街が立地する宮古空港北部の平良地区に集中していた。平良地区では特に1泊3,000円以下または3,000円〜10,000円以下の価格帯の宿泊施設が集中しており,民宿ないしは比較的小規模なホテルなどの宿泊施設が目立った。一方,1泊20,000円以上の宿泊施設は宮古島の南海岸に集中しており,宮古島の南海岸沿いに島外資本系列の高価格帯の大規模宿泊施設が進出していることを示している。</p>

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