- 著者
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及川 久遠
- 出版者
- 一般社団法人 日本科学教育学会
- 雑誌
- 日本科学教育学会研究会研究報告
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.8, pp.19-22, 2020
<p>高等学校の数学の中で「行列」という単元は特徴的なものの1つである.初めて単元として扱われたのは1973年度(昭和48年度)施行の学習指導要領であるが,そのときは「数学一般」という科目にあった内容の「ベクトルと行列」であり,数学一般と数学Iから1科目を選択する選択必修であった.したがって,多くの高校生が行列を学習するようになったのは次の学習指導要領であるといってよい.その後,数学と理科が1年先行した2012年度(平成24年度)施行の学習指導要領で「行列」という内容(単元)がなくなるまで約40年にわたり高等学校の数学で教えられていた.実はまったく無くなったわけではなく,同年に創設された「数学活用」という科目の中で簡単ではあるが扱われている.次期学習指導要領においても同様の扱いになり,単元としての「行列」の復活を望む声は届くことはなかった.本稿では,「数学一般」から「数学活用」までの教科書を参照しながら,次期学習指導要領に向けてこれまで行われてきた行列の教育の特徴について再確認する.</p>